不用品整理|掛軸

生活

2025年9月29日

不用品整理(荷物整理・自宅整理・実家整理・遺品整理)
処分をするのか、メルカリやジモティーに出品するのか、のメモです。

記憶

1930年代生まれ(昭和5年~)の祖父母宅の荷物整理で掛軸が出てきました。どうすれば良いのかわからずです。価値があるのかないのか、売れるのか売れないのか。いつものごとくフリマサイトに適当な金額で出品し、徐々に値下げをして1年ほど様子見ます。

ざっくり調べると売却するときに必要なのは、

  • 作者の知名度・経歴 【美術展の入選歴、画風が美術史や流派に属しているか等】
  • 作品の質・状態   【布・紙の質、保存状態(変色、シミ、虫害など)、表装(表具)の良し悪し】
  • 型式・サイズ    【尺八・尺五などの形式、使われている軸装の立派さ。大型で立派な表具か】
  • テーマ・内容    【絵画か書か。風景・花鳥・仏画・書など、人気のあるジャンルか】
  • 共箱や保証書の有無 【署名や落款(らっかん)、印章(はんこ)、裏書き、箱があるか】
  • 市場性・流通の履歴 【同系作品の取引例があるか。オークション、古美術店に流れていたか】

を確認とのことです。

生成AI(ChatGPT)で聞いたことの解釈

現物や箱、記載された文字、メモ書きから、インターネット検索と生成AIで色々と調べてみます。掛軸は4つあって、
 ①掛軸 青緑山水 彩色山水 平野麦秋
 ②掛軸 松上鶴(小) 藤沢寿峰
 ③御朱印軸 西国三十三ヶ所巡礼 完成品
 ④御朱印軸 西国三十三ヶ所巡礼 未完成品

①の作品、掛軸 青緑山水 彩色山水 平野麦秋

箱に、
 品種:青緑山水
 種類:三枚裏
 型 :尺八
 作者:平野麦秋
と書かれていましたので、調べてみますと、

まず品種の「青緑山水(せいりょくさんすい)」は、山や川を描く風景画(山水画)の中で、岩や山を、青や緑の岩絵具(いわえのぐ:鉱石を砕いてつくられた粒子状の絵具)で彩る技法を指すとのこと。墨一色で描く山水画の場合は「水墨山水」。中国の唐時代(の中でも651~730年)で生まれ、日本では平安~鎌倉時代(約794~1333年)に絵巻や仏画に、桃山時代(約1543~1603年)以降は障壁画に応用され、江戸時代中期~後期(1700~1800年代)には、それまで武家・公家・寺院で人気だったのものが町人階級に広まり、一般家庭にも「床の間に飾る鑑賞用掛軸」として需要があったそうです。そして昭和時代の戦後~高度経済成長期(1945~1970年代)は、住宅に床の間があるのが一般的で、「掛軸=必須の室内装飾」という時代で、贈答品として大量に制作・販売され、量産品も多かったそうです。残念ながら昭和後期(1980年代)には、住宅事情が変化して床の間のない家が増えて、段々と縮小していったとのこと。テレビも増えましたしね。

つぎに種類の「三枚裏」は、表具の仕立てに関する専門用語で、掛軸の裏打ちの層構造とのこと。掛軸の本紙はとても薄い紙や絹に描かれていてそのままだと弱くて扱えないので、裏に和紙を貼り重ねて補強をするのだけれども、一枚なのか二枚なのか三枚なのか、と。三枚あれば耐久性が増して保存性が高くなるけど、四枚と枚数を多くしても今度は重くなって掛軸がたるんで破けやすくなったり、厚くなって柔軟性が失われるので、ものによりますと。

つぎに型の「尺八」は寸法のことで、幅が一尺八寸(54.5cm)のこと。江戸時代の頃は長さの単位に尺や寸や分が使われていて、1尺=10寸、1尺=30.303cm、1寸=3.03cmなので8寸=24.24cm。足して54.5cm。尺貫法と計量法の歴史を調べたいけどまたいつか。またサイズは尺八以外にも尺五や尺三と何種類かあるもようです。

最後に作者の平野麦秋(ひらのばくしゅう)さん。ネットで調べてもあまり情報がないです。生成AIでは、昭和時代の日本画家で、特に山水画や花鳥画を得意としていて、戦後の床の間向け掛軸市場で人気を博した画家の一人です、とでました。ネットで出品も少しありましたが、う~ん、よくわからずで残念です。

②の作品、掛軸 松上鶴(小) 藤沢寿峰

こちらも同様に調べてみますが、まず箱には、
 品種:松上鶴(小)
 種類:三枚裏
 型 :尺五
 作者:藤沢寿峰
と書かれていたので、品種と作者について調べてみると、

品種の「松上鶴(しょうじょうのつる)」は、字の通りだと思いますが、松の上に鶴が舞い降りる、または止まっている様子を描いたもので、掛軸や絵画でよく使われる画題・モチーフのひとつとのこと。縁起物としての意味合いが強く、長寿や繁栄や幸福を象徴する。松は、常緑樹で一年中緑を保つことから「不老長寿」「不変」「堅実」を象徴し、鶴は、長寿・幸福・高貴を表す吉祥鳥で天に昇る姿や舞う姿は神聖さや祝福の意味を持つとのこと。これまた中国からで吉祥思想に由来するとのこと。中国で960~1279年に生まれ、日本では室町時代(1336~1573年)、安土桃山時代(1573~1603年)、江戸時代(1603~1868年)を経て、明治以降(1868年~現代)でインテリアとして使用されましたと。

作者の藤沢寿峰(ふじさわじゅほう)さんは、昭和23年(1948年)生まれで現代(2025年)の作家さんとのこと。たしかに、ネット検索でも結構ヒットしますし、美術年鑑というのにも掲載されているとのことです、現代もご活躍中とは素晴らしいです。こちらの掛軸は昭和58年(1983年)に祖父母の手元に渡っているので、それが約40年越しに孫の元に渡り、作者はまだご活躍中とは、なんか面白いです。あと調べていくと画家のプロフィールサイトというのもありました。

③の作品、御朱印軸 西国三十三ヶ所巡礼 完成品

箱には何も書かれていなかったので、写真をとって生成AIに聞いてみると、どうやら御朱印軸(ごしゅいんじく)とのことで、巡礼などで集めた御朱印を掛軸仕立てにしたもの。中央に観音菩薩を描き、その周囲に各寺院の御朱印(墨書と朱印)が押されたもの。中央の観音菩薩の上の文字を頑張って読んでみると「皇室香華院(こうしつこうげいん)」と見えるので、これも頼りに調べてみる(が、よくわからなかったです)。御朱印軸って御朱印帳的なものでしょうか。また巡礼は、西国三十三所巡礼四国八十八所巡礼等いろいろとあるらしく、誰かが廻ったのでしょうか。そういえばお遍路さんというのを聞いたことがありますが、四国八十八ヶ所巡礼で霊場巡りという日本文化の一つらしいです。

もう少し聞いてみると、
 対象地域:西国三十三所 → 近畿一円(奈良・和歌山・京都・滋賀・兵庫・大阪・岐阜)
      四国八十八所 → 四国全域(徳島・高知・愛媛・香川)
 由来  :西国三十三所 → 8世紀に行基、9世紀に花山法皇が整備したと伝わる観音霊場。
      四国八十八所 → 弘法大師(空海)が開いたと伝わる大師信仰の霊場。
 ご本尊 :西国 → 観音菩薩が中心。
      四国 → 各札所で異なる(観音もあるが薬師如来、大日如来など多様)。
覚えられません。

価値としては、持ち主や当時知っている人にとっては大切なもので巡礼を成し遂げた証なので、記念品的価値はあるけれど、金銭的価値はないらしいです。御朱印軸は個人の記録ですと。どうすれば良いのでしょう。まあ御朱印帳と考えれば、集めている人は楽しそうですがまだ今の自分自身には感心がないし。将来自分自身が同じ行動をとって、収集感や達成感を感じることができたら初めて価値を感じるかもしれませんが、現状はどうしようもないので、売却できればよし、できなければ期限を決めて手放す方向です。

④の作品、御朱印軸 西国三十三ヶ所巡礼 未完成品

上の文字を右から読むと「西国三十三番霊場御印譜(さいごくさんじゅうさんばんれいじょうごいんぷ)」と読めます。これも御朱印軸でしょうか。③のものと比べると全体的に白いし空白も多いので、これはもしやこれから巡礼を始めようと準備した掛軸かな。実際にはこれを持っていくのではなく、後で貼り付けるのだと思いますが、完成前に何かあったのでしょうか。信仰と観光を兼ねた巡礼で、恐らく当時は徒歩だったと思うので、大変だったでしょう。現代では車や電車を利用して2週間ぐらい、当時(恐らく1970年代)だと1,2カ月かかるだろうなあと。